医師への道~医学部2年生編~

医師への道~医学部2年生編~

こんにちは。
今回の記事では、医学部2年生の学生生活の雰囲気、講義などについてご紹介します!

どの学部でも同じだと思いますが、大学1年生は何もかもが新鮮で気づいたらあっという間に1年が過ぎてしまった、と感じる学生が多いでしょう。

医学部も例に漏れず、入学初期の怒涛の新入生歓迎会から、大学祭、期末試験、部活の大会、バイトなどなど、、、、人それぞれ忙しい日々を過ごす事になると思います。

医学部2年生になると忙しさの割合が実習に偏る時期も出てきます。
そんな医学部2年生の実習や講義についてご紹介します!!!

実習編~「医学部」ならではの実習

多くの医学部で2年次に取り組むことが多い実習が「解剖実習」「組織実習」です。一言で言うと「かなりキツイ!!!」実習です(笑)

解剖実習

私の大学では2年生の初めから夏休み前までの約3カ月間、週3のペースで午後の時間全てをこの実習に当てるカリキュラムが組まれています。
多少時期の違いはあっても、どの大学の医学部もだいたい3カ月近くはこの実習に取り組むことになっています。

よく医学部以外の友人や知り合いから
「本当に人間のご遺体を解剖するの??」
とよく聞かれましたが、正真正銘本物のご遺体を解剖させて頂きます。

最初に言っておきますが、この「解剖実習」以上にヒトの体の構造を入念に勉強できる機会はありません。なので、学生全員が普段以上に真剣に取り組みます。

実習の様子としては、換気設備が十分に整った大部屋に学生全員が集まり、だいたい4、5人でグループになってご遺体を解剖していきます。解剖の手引書なるものをガイドにしながら、自分の教科書や参考書も参考にしつつ、指定された構造物(~神経や~筋、~動脈や肺、心臓、肝臓といった様々な臓器)を実際に剖出(※)していきます。

※「剖出」とは、簡単に説明すると、ご遺体を解剖していき、目的の構造物が目で見て分かるような状態にすることです。

今日はここまで、といったノルマがあるのですが、教科書や参考書とは違い、実際に見るヒトの身体は複雑で、そもそも皮膚や筋肉、骨といった構造物に埋まっていたり、守られたりしている臓器などを剖出するのは非常に大変です。

その日のノルマを終える頃ができなかった場合、どんどんタスクが溜まっていき、休日返上で解剖室にこもって解剖をするグループも出てきます。

そしてこの実習での鬼門になるのが「解剖用語の暗記(日本語と英語の両方)」テストと自分たちの班のご遺体を参考にしながらの「口頭試問」です。

解剖用語の暗記では、大学受験では絶対に見ないようなとんでもない長さの英単語に出会います。ちなみに、初めて見た時長すぎて唖然とした英単語はこちら「sternocleidmastoideus胸鎖乳突筋」です(笑)
あまりに衝撃的過ぎて解剖実習から4年近く経った今でも覚えています。これはかなり長い方の単語ですが、このような英単語を1回のテストで300、400個と平気で覚えることになるのでとんでもない負担になります。

加えて「口頭試問」では、先生と自分が一対一で対面式で行うテストで、先生が指示した構造物を自分の班のご遺体から見つけて、それに関する質問に答えていく形式を取ります。対面式のテストなので緊張感は半端じゃありません。もう冷や汗ダラダラで受けたことを思い出します。

このような試験を約3カ月の解剖実習の期間内に2セット行いました。今となっては、一生懸命班員と協力しながら勉強したことは良い経験ですが当時は本当に精神をすり減らしながら実習に全力を注いでいました。

解剖実習が終わると、全員で解剖させて頂いたご遺体のお葬式を大学で行います。ご遺族の方も招いて学生1人ひとりが花を手向けるのです。「解剖実習」で私たち学生が解剖させていただくのは、生前に未来の医師になる学生の勉強のために、というご厚意でお亡くなりになった後ご自身を大学に寄贈して下さった方々のご遺体です。こういった方々のおかげで医学部の教育は成り立っているのです。

 

組織実習

「解剖実習」に次いで大変な実習が「組織実習」です。
身体の様々な臓器をスライスしたものを顕微鏡で観察し、それをスケッチするというものです。
言うなれば、「解剖実習」ではヒトの身体を肉眼的なレベルで、「組織実習」ではヒトの身体を顕微鏡レベルで勉強する、と表現したら分かりやすいでしょうか?

これまた膨大な量の課題スケッチをひたすらこなしていき、各構造の名称と働きを勉強していきます。「解剖実習」は肉体的に負担が大きい実習ですが、「組織実習」は精神的に負担が大きい実習だったのを覚えています(笑)

しかし、その分3年次以降に学ぶ疾患の知識を理解する上で、基礎となる部分をまとまった期間で身に付けられたのでキツイ実習ではあるものの、非常に実りのある実習になりました。

皆さんも医学部に入学したら必ず全員が通る道ですが、なんとか周りの友達と協力しながら乗り切って欲しいですね!

医師への道~医学部2年生編~

講義編~「基礎医学」の履修開始!!

皆さんは「基礎医学」という言葉を聞いてどんな内容を想像しますか?
私自身も実際に講義を受けるまで何をもって「基礎医学」というのかサッパリでしたが、読んで字のごとく「医学の基礎」となる分野を総じて「基礎医学」と言います。「正常な」「健康な」ヒトの身体の中でどのような現象が起こっているのか、あるいは様々な病気の原因となる臓器や構造はどのような働きをしているのかといったことを勉強します。

医学部や医師と言えば誰しもが想像する「病気」に関してどのような仕組みで発症するのか、どのような治療が良いのか、といった内容は「臨床医学」と呼ばれます。このように比較すると「基礎医学」との違いが分かりやすいでしょう。

「基礎医学」では、具体的には
「〇〇イオンが細胞に流入して△△が起こる」
「□□を構成するタンパク質は☓☓によって破壊されてしまう」
といったミクロレベルの現象について深く掘り下げて勉強するのが最大の特徴です。

この基礎医学に含まれる科目はたくさんありますが、科目名と簡単な説明を併せて一部ご紹介すると

「微生物学」・・・細菌やウイルスといった感染症の原因について
「生理学」・・・体内ではどのような物質のやり取りが行われているのか
「神経解剖学」・・・ヒトが運動したり、痛みや温かさ、冷たさなどを感じたりするのに必要な回路について
「神経生理学」・・・上記の「神経解剖学」の親戚のような科目で、物質レベルで神経について学ぶ
「薬理学」・・・代表的な薬剤の働きと効果が表れる仕組みについて

軽く書いただけこのくらいの科目は履修しました。
各大学によって若干科目名が違っていたりしますが基本的に全員が同じような内容で、「臨床医学」を学ぶ上で必須になる基礎知識を学びます。

ここからとんでもないスピードで専門用語が増えていき、アレルギー反応を起こしてしまう同級生もチラホラ、、、、、、、
試験も1年生と比べて格段に難しくなるので試験期間になると仲の良い同級生数人で集まって夜遅くまで頑張って勉強します。
今となっては、いい思い出の1つでそのころから一緒に勉強していた同級生は学年が上がっても試験期間に一緒に頑張れる心強い存在になります!
試験はかなり辛いですが頑張りがいがありますよ!!

 

部活編~1年生と比べてどう変わる?

ここまでは「実習」と「講義」についてご紹介しましたが、医学部生活を送る上で切っても切れない存在が「部活」ですね!
前回記事では「部活選び」にフォーカスしてご紹介しましたが、今回は「1年生と比べてどんな部活生活を送っていくのか」についてご紹介します!

忙しいと言われる医学生は具体的にどんな風に部活に取り組んでいるのか是非楽しみながら読んでみてください!

初めての後輩!!

大きな変化として挙げられるのはやはりコレ!
大学に入って初めての後輩ができる!ということです。

ちょうど1年前は自分が新歓で熱烈な歓迎を受けて、入部後は先輩方にチヤホヤされてとても楽しい部活生活を送ってきたはず!
自分が先輩方に楽しませてもらった分、それを今度は新しく入部してきた後輩に還元してあげる番です!

自分の1つ上の先輩もそうですが1つ下の後輩というのも部活だけでなく、将来医療現場で一緒に働くようになっても気軽に情報共有や相談ができる存在になります!

学年が近い分、卒業まで長い時間部活を通してかかわっていく訳ですから、是非ぜひ大切にしてください!!

「幹部」への昇進

自分が入部した部活によって多少の時期は違いますが、2年生から3年生にかけては部活の運営に直接かかわる「幹部」という役職に就くことが多くなります。

医学部の部活は1年生から6年生まで所属していますが、1年生は入部したばかりですし、4年生以降はCBTや臨床実習といった勉強に占めるウェイトが高くなるので、必然的に2年生後半から4年生前半にあたる時期の部員が部活の運営をしていきます。

部活の主将をはじめ、大会のエントリー等を取りまとめる主務、OBOG(卒業生)と連絡を取り合う渉外、部費の徴収・管理から大学との交渉などなど、、、
部活の「顔」として動いていくのが「幹部」です。

1年生の時は「楽しませてもらう」だけだったのが、2年生になると「主体的に動いて楽しませる」役割を担うようになるのが大きな変化ですね!

医師への道~医学部2年生編~

番外編~医学部のテスト事情!?

学年によってテスト科目の数はもちろん、難易度も違います。
それぞれの学年で勉強する科目については学年ごとの記事にてご紹介します。
ここでは、普段のテスト時期どのような雰囲気で医学生が勉強しているか簡単にですがご紹介します!!

まず、医学部のテストですが大学によって大きく2つのパターンがあります。

①講義の内容が一区切りした際まとめテストを行ったり、その週の講義が終わったタイミングで小テストや中テストといったものを積み重ねたり、そういった形式で長期休みの前にテストを終える大学
②講義は長期休みの前に終えて、休み明けにまとめてテストを行う大学

①のような大学は普段から小まめにテストがあるため、部活やバイトもやっている学生だとかなり忙しい日々を送っています。その分、長期休みは長めですし、休み明けにテストが控えていないということで休みを思いっきり満喫できるという点が最大のメリットですね!

②のような大学だと、科目にもよりますが普段は講義のみであったり、本当に簡単なテストがあるだけなので、①のような大学の医学生と比べると普段の忙しさは軽減されます。しかし、長期休みに入ったとしても休み明けにテストが控えているため、休みの後半はテスト勉強に費やさなければなりません。

①のような場合も、②のような場合もおそらくお互いの大学の医学生を羨ましく思ったり、はたまた自分の大学で良かったと思ったり、、、(笑)

基本的に入学した大学のテスト形式に慣れていくわけですが、皆さんは入学するならどちらのテスト形式をとる大学が自分に合いそうですか??

ちなみにですが、私の大学は②のパターンの大学です。
私の大学ではテスト期間の2、3週間前になるとポツポツと共用の図書館やコンピューター室に学生が集まり始めます。幸い私の大学は学生証があればそれらの施設を24時間使用できるので夜型の学生も朝方の学生も自分の好きなタイミングで勉強できます。テスト週間に突入すると昼夜問わず多くの学生でほぼ全ての席が埋まります(笑)
一単位でも落とせば問答無用で再試が待ってますし、もし一度に一定数の科目数を超えて落としてしまうと一発で留年が決まってしまいます、、、

ですので、テスト期間は全員ががむしゃらに勉強します。テスト期間は正直心身ともにかなりこたえますが、ああでもないこうでもないと同級生と教えあいながら勉強するのは良い経験になります(笑)

言うまでもないですが、気を付けなければならないのは、あまりにギリギリまで勉強をため込むと高校までとは比較にならないくらいテスト範囲が広いので、泣く泣く徹夜をしなければならなくなります、、、

先輩から聞いた話ですが、どうしても徹夜をしなければならない状況に追い込まれて、エナジードリンクを夜通し飲み続けた結果、おそらくカフェイン中毒の一歩手前だったのか身体の震えが止まらなくなり、試験中もペンを握る手がカタカタ震えていたそうです、、、Σ(゚д゚lll)
皆さんも医学部に入学してテストを迎えるにあたっては、くれぐれも計画的な勉強を!!!(笑)

 

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