PMD医学部予備校のサイトで2020年度国立医学部医学科合格者平均成績ランキングを掲載しました。
センター試験でのランキング及び各大学の偏差値でのランキングを集計しています。
2020年度国立医学部医学科受験者の傾向
国立医学部医学科受験者は、2019年度の24736名から2020年度は21381名と3355名減となりました。割合としては、13.5%ですので私立医学部受験者の減少の2倍強の減少幅でした。
理由として考えられることとして、医学部の不適切入試で公平でない医学部入試の実態が受験生に忌避されたことや、その原因をめぐる報道で医師の勤務実態や無給医の問題などが取り上げられたことがあげられます。
逆に言えば、今年度の受験生はより医師になりたいという気持ちが強い生徒が受験したともいえるでしょう。
2020年度国立医学部医学科偏差値ランキング
2020年度国立医学部医学科偏差値上位10校
偏差値の上位10校は
東京大学74.9
京都大学74.1
大阪大学73.1
東京医科歯科大学72.8
名古屋大学72.0
神戸大学71.1
千葉大学71.0
横浜市立大学70.9
九州大学70.8
東北大学70.3
でした。
全大学の平均は68.1で、2018年度の68.0に比べて微増となっています。
医学部医学科受験者激減したのに偏差値が上昇した理由は?
受験者数は大幅に減少していますが、全体の偏差値は変わらないので成績上位者の動きは大きくは変わらなかったと考えられます。
また私立医学部偏差値ランキングでも触れましたが、2018年の医学部入試における不適切な扱いで医学部受験者は減ったものの公平になったことによって成績上位から合格したことも原因の一つです。
医学部医学科定員減の影響は?
一方で医学部の定員は2020年度は90名の削減となりました。特に削減幅が大きかったのは東北大学(19名)、山形大学(15名)、旭川医科大学(12名)でした。
2年前の2018年度と比較すると東北大学で大幅な難易度の減少がありました。これは定員減がもっとも大きかったことから志願者が大きく減ったためと見られます。
山形大学と旭川医科大学に関しては大きな違いはありませんでした。国立医学部といえば隔年現象がありますが、2020年度は医学部受験者が大幅に減ったことから隔年現象がほとんど見られなかった年となりました。
以上のことから全体的には、今までのところは減少の影響は今のところ限定的と言えるでしょう。
今後の医学部医学科定員はどうなるの?
今後医学部の定員減少は、偏差値に影響を与える可能性があります。2021年度以降の医学部の定員はどうなるのでしょう。
2008年から始まった「医師緊急確保対策」及び地域枠の枠組みによる成長戦略の医学部定員増によって医学部医学科の定員は、2019年に9420名になりました。その後当初は定員を減らす方向でしたが、2020年、2021年は各都道府県の医師の受給関係を見て調整する期間となりました。
2022年以降は医師偏在対策、勤務時間適正化の議論を経て再度医師需給予測を作成した上で決めることなっています。以前厚労省が公表していた医師需給予測は、いったん白紙になっている状態です。医師の需給が逆転すると言われたいわゆる「2028年問題」「2033年問題」も見直されることになります。
2018年に発覚したたった一人の東京医科大学医学部入試に関する不正問題は、医師の働き方さらには医師の需給予測の見直しにまで至りました。当初の医療政策が少なからず影響を受けることが考えられます。ひいては医学部定員の増減にもつながります。
医師需給分科会 第4次中間取りまとめの概要12019年3月22日取りまとめ
2020年度国立医学部合格者センター試験ランキング
一方2020年度で最後となったセンター試験の結果は、合格者に関して言えば2018年度と比べて平均点が下がった大学は32校、上がった大学は16校、同じが2校でした。医学部合格者全体の平均点では5点下がっています。
こちらの上位10校は
東京大学 844点
京都大学 836点
名古屋大学 821点
大阪大学 819点
九州大学 818点
東京医科歯科大学 817点
神戸大学 814点
千葉大学 804点
北海道大学 802点
横浜市立大学 800点
でした。
下位の大学に関してはセンター試験の得点率が83〜5%になりますので、7割台でも合格した受験者がいるのではないかと推測されます。
2つのランキングの比較から共通テスト受験後に気をつけること
共通テストになって作問が質的に変わります
センター試験のランキングは偏差値ランキングと比べると多少の変動がありますが、センター試験の圧縮が大きい大学でもセンターの得点の順位に近い順で合格者が出ていることが推測されます。
今年度から始まる共通テストは、問題文が冗長で考えさせる問題にしてタキソノミーのレベルを上げることが元々の目的でした。
2021年度から始まる共通テストの理論的バックボーン「ブルーノのタキソノミー」について
個別学力試験もセンター試験と比べるとタキソノミーのレベルは上がりますので、共通テストの作問が本来の目的通りになったとしたら、センター試験よりさらに共通テストの結果と合否の関連が強くなります。
共通テストの影響で志願校選択基準にも微妙な影響がありそうです
この辺りは個々の大学ごとに科目ごとの圧縮を見ていく必要がありますが、例えばいわゆる「二次力」と言われる力があると思って個別学力試験の比率が高い大学を受験したとしても他の受験生も同じ考えで受験校を選択したと仮定すると、最終的にはセンター試験の得点で合否が決まります。科目ごとの配点が違う場合も同じことが起こりますので受験校選択の際は注意が必要でした。
今後共通テストと個別学力試験のタキソノミーのレベルが同じになった場合は今まで漠然と「二次力」と言われていた学力(?)自体がなくなる可能性もあり、これまでの志願校を決めていた選択基準が変わるかもしれません。
2021年度の入試で未確定のことも多くありますが、受験生や保護者の不安を少しでも払拭できるよう、例年以上に新しい情報をアップしていきます。
ぜひ参考にして下さい。