センター試験から大学入試共通テストに代わるに伴って試行問題が実施されています。それも参考にしながら、医学部志願者の共通テスト物理について出題傾向の分析と対策を紹介していきたいと思います。
物理の出題形式と傾向
共通テストの物理は試験時間60分で配点は100点、大問数は4~6題で設問は41~42問ほどとなっています。センター試験と形式や出題数は変わっておらず、概要はそれほど変化はないと言えます。
出題傾向はどうでしょうか。
共通テストはどの教科、科目も従来のセンター試験よりも「思考力」「図や表、資料から読み取って分析する力」が必要な問題が多くなっています。これは物理でも同様で、センター試験よりも図や表が増加しており、正しく数値や資料を読み取る問題が多くなっていると言えます。
また志向調査では正解となる答えが一つではなく、当てはまるものすべてを選ばないと得点できないという問題が出ているほか、やや難易度の高い問題が設問ごとに誘導される形式で出題されているという変化がありました。しかしながら大学入試センターからは、「あてはまるものすべてを選ぶ」形式の問題は出さないとウェブサイトで公表されました。
選択肢で単純に答えるという問題が減り、実力がさらに問われるような形式になったことから試行テストの平均点は37点ほどしかありませんでした。2019年、2020年に行われたセンター試験では平均点は60点前後となっていることを考えると一気に難化したと言えます。ただ、もちろんこのままの形式や内容レベルで本番が実施されるとは考えにくく、従来の形式やレベルが重視されると考えられます。
出題されている問題の分野分析
2018年試行問題 | 2019年試行問題 | 2020年センター試験 | |
大問1 | 摩擦、運動、エネルギー | 力学、熱力学、原子 | 力学、磁場、波動 |
大問2 | 振り子、運動 | 力学、エネルギー | 電磁気、荷電粒子 |
大問3 | 遠心力、力学 | 光 | ドップラー効果、波動 |
大問4 | 電磁誘導、回路 | 電磁誘導 | 円運動 |
大問5 | なし | なし | 熱力学 |
大問6 | なし | なし | 原子 |
となっており、幅広い分野からまんべんなく出題されていると言えます。それでも医学部志望者は9割程度の得点率は平気でとってくるため、どこかの分野に弱点があると致命的です。
エネルギー
単純にエネルギーの値を求めるという問題ではなく、そこで起こっているものの、どこにどれだけのエネルギーがかかっているのかということを問うてくる問題が出題されています。普段からどこにどれだけの力がかかるのか、抵抗とは何なのか、ということを考え、ただの数値として見るのではなく、それを概念としてイメージできるかどうかがポイントとなってきます。
電磁誘導
こちらも公式を覚えているのは当然として、その現象自体が理解できていなければ正しく使いこなすことはできません。電磁誘導の式に具体的な数値を代入して計算するということに加えて、違う形式で問われていても、応用して置き換えて考えることができるかどうかという力も必要となってきます。
原子
私立大学の入試出題範囲からは除かれることもある原子ですが、共通テストでは出題範囲に入っています。原子の最も低い励起状態から基底状態へのエネルギー変化を与えられた公式から求める問題が出されています。学習するのが最後となることが多い原子ですので、前もっての対策が必要となります。
光
光の干渉に関する問題が出題されています。光が強め合う条件であったり、経路差に関する問題が出題されています。特に「赤は波長が長い」「青は波長が短い」というような知識問題は毎年のようにセンター試験で出題されてきた頻出分野でした。こういった頻出の知識は必ず押さえておきましょう。
荷電粒子
センター試験では電磁気、回路に関する問題は頻出となっていました。2020年には荷電粒子にかかるローレンツ力の問題が出されています。電子が負の電荷と持つのに対し、荷電粒子が正の電荷を持つということから運動が逆になるという知識や、ローレンツ力によるエネルギーを荷電粒子に関する運動方程式が算出することができるかどうかで得点率に差が生まれていました。
物理は関わっている方程式、公式などが多いのですが、何よりそれらを基礎から覚えているということが重要だと言えるでしょう。
共通テスト物理のおすすめ参考書
確認問題、基礎問題によって物理に必要な基礎力を徹底的にやり込むことができるようになっており、その上で資料に関する問題、実験に関する問題などの実践的な問題を解くことで共通テストに対応できる力をつけていくことができます。センター試験の過去問だけでなく、オリジナルの予想問題が掲載されているのも魅力です。
まとめ
・物理は他の理科の科目よりも暗記しているだけでは点数にならず、思考力や計算力などが問われる問題が多く出題される。
・重要なのは基本的な公式や方程式を使いこなす力
・幅広い分野から出題されるので弱点のないように