大学入試共通テストは、これまでのセンター試験と違っている部分と似た部分があることがわかっています。これは化学についても同様で、特にどういった部分に違いがあるかを押さえておくことが重要となります。そこでここでは共通テストの化学の出題傾向や対策について紹介していきたいと思います。
2021年度共通テスト化学の出題傾向
共通テストでも化学は試験の配点や出題形式に関しては変化はありません。しかし出題の内容については大きな変化がありそうです。まず今までのセンター試験よりも「表、グラフ、資料、データの読み取り」に関する問題が多くなっています。これまでは知識があって、その知識を使って解くという問題が多かったのですが、共通テストでは知識があった上で、表やグラフからの情報を読み取って、それらを合わせて考察するという問題が多くなっています。
また「常用対数表」を利用するような数学知識がなければ苦労するような問題も出されています。読み方や解き方の案内はありますが、普段から見ていない生徒にとってはかなり厳しい問題レベルだと言えます。知識のみで答える問題ではなく、その知識と与えられた情報を使って考察、さらに「反応を予測する」という問題まで出ることがあります。ここまでくると正解率は非常に落ちており、試行調査では正答率は24％程度しかありませんでした。
さらに大きな変化として、「分野融合問題」が増えていることがあります。これまでのセンター試験では「理論化学」「無機化学」「有機化学」とはっきり分野が分かれての出題が多かったのですが、直近のセンター試験や試行調査では有機化学の問題に無機化学の知識を混ぜた問題なども出題されています。
こう考えるとそれぞれの分野について知っていると同時に、融合問題として出されたとしても対処できるような準備が必要と言えるでしょう。
共通テスト化学の対策
まず分野の枠を超えて融合問題が出題されてきていますので、それぞれの分野を切り離して考えるのではなく、「化学」として総合的に考えていく方が無難です。
共通テストで求められるレベルについて
考察力や思考力が問われるといっても、問題を解くベースの知識は基礎的な知識です。単純に暗記ではなく、原理、法則、定理、公式などの要点をおさえ、「なぜそうなるのか」という理解まで進めるようにしましょう。
そこまで押さえたものと、しっかりと覚えた基礎知識を合わせて考えることで、応用が可能となります。暗記事項、基礎知識を踏まえた上で問題演習を繰り返して、どのような形式で問題が出されても対応できるように仕上げていきましょう。
実験の経過、結果などから論理的に答えを組み立てる
化学の実験問題、グラフ問題が多く出題されることが予想されています。教科書や資料集、図説などでの実験内容などを十分に確認して、できれば実際に実験してみることで理解を深めていきたいところです。
出題には、実験の経過でわかったデータを公式や定理に当てはめることで数値が導き出され、さらにその数値と別のデータを組み合わせることで結論が出される、というような複雑に入り組んだものもあります。最終的な結論に至るまでの経過を理論的、論理的に組み立てて道筋を作っていかなければいけません。
これは単に公式や定理を暗記しているだけではできることではなく、それらを使って「どうすれば結論まで行けるか」ということを考えなければいけないようになっている問題です。数学の証明問題のように「論理的に組み立てる」という練習をしておきましょう。
日常生活との関わりを意識する
共通テストでは化学と実際の日常生活との関係性が問題として出されることがあります。何かニュースになったような出来事に関連する化学現象などは出題される可能性も高くなります。日常生活で起こっている事象と化学理論、化学物質、化学的現象との関連性に注目し、教科書や問題集に載っている内容と結びつけて考えるクセをつけておきましょう。
共通テスト化学のおすすめ問題集
「大学入学共通テスト 化学 実戦対策問題集」（旺文社）
図やグラフなどの資料から情報を得て解く問題が増えることを意識して作られた問題集です。難易度が「基本問題」「実戦問題」の2段階に分かれているため、徐々に対応力を鍛えていくことも可能となっています。しっかりやり込んで「考えて化学を解く」ことに慣れていきましょう。
まとめ
・情報を読み取って考える問題が増加する
・有機化学、無機化学、理論化学の融合問題が出題される
・化学と日常生活との関わりを意識する
