近年、様々な分野においてAI(人工知能)が積極的に活用されるようになってきました。それは、医療の現場においても例外ではありません。
人間の命を扱う医療の現場で、AIをどのように活用していけばよいのか。未知数の分野ではありますが、だからこそ、医学部医学科受験において、受験生がどのように考えているのかを問われる機会が増えていくと考えられます。
では、「医療におけるAIの役割について」、どのように論じるべきか考えていきましょう。
出題意図を理解し、どのように論じればいいかを考える
まずは、「AI」について理解しておくことが大切です。
近年のAI技術の進歩は目覚ましく、与えられたデータから学習し、AI独自の判断基準を持つことが可能になってきました。
たとえば、膨大な患者データを分析し、AI独自の判断基準から、患者一人一人に最適な治療法をこれまでより迅速に導き出すことも可能になるでしょう。
もちろん医療技術にAIを導入するには、メリット・デメリットがあるので、それらをよく理解しておくことが必要です。
例えば、メリットは、多くの医療データを管理し、スピード感を持って活用することが可能になるということ。デメリットとしては、たとえば、誤作動やバグにより正確性を欠く可能性があるということなどが挙げられますね。
問いとしては、そのまま「医療におけるAIの役割をどのように考えるか」や「AI技術の進化、および活用が期待される医療現場で、医師としてどのように働くべきか」などの課題が考えられるでしょう。
論旨の進め方
では、この二つの課題について、具体的にどう論じるか考えていきます。
ここでは、800字、四段落構成を基本に説明しますが、字数が600字だった場合、三段落をカットし、800字よりも長かった場合には、それぞれの段落に均等に字数を振り分けて書くと考えればよいです。
まずは「医療におけるAIの役割をどのように考えるか」。
序論では、医療分野におけるAIの活用についての可能性を簡単に説明し、「では、実際に医療分野においてAIをどのように活用していくべきか」と問題提起します。
本論では、医療において、AIの積極的な活用が期待できる分野について考えていきます。これについては、すでに、どのような分野でAIが活用されるべきかの議論がなされているので、書きやすいものを抽出しておきましょう。
注目すべきはAIのデータ処理能力。データ処理が迅速に、かつ正確に行われれば業務が格段に効率化できること、そしてその効率化が医療にどんなメリットをもたらすかを書いていきます。
たとえば、「画像診断の効率化」。蓄積された膨大な診断データをもとに、より正確にスピード感のある診断が期待できます。
また、「診断・治療支援」。診断をくだし、治療方針を決定するのは医師ですが、そこに至るまでの情報整理や処理にAIを活用することによって、医師不足や医療の地域格差の解消が期待できますね。
結論には、ここまでに述べてきたことを整理し、端的にまとめましょう。
そして、「AI技術の進化、および活用が期待される医療現場で、医師としてどのように働くべきか」。
序論では、医療現場でのAI技術活用のメリット・デメリットについて説明した上で、「今後、医師はAI技術と協働することが求められていると思う」と意見化します。
本論では、AIに任される分野はAIに担わせ、医師はAIではできない役割を担っていかなければならないという前提で論じましょう。
まずは「AIの分析をもとに、正確に診断し、的確な治療を行っていくこと」。また、「AIの導入により、最大限に作業効率化を図り、診療数を大幅に増やしていくこと」などが挙げられます。
結論は、再度「AIを活用すべきこと」、「医師にしかできないこと」を整理してまとめましょう。
書く際に留意すること
医療におけるAIの導入は、まだまだ未知数であり、大きな可能性を秘めていますが、一方で、医療行為すべてをAIが担うということはあり得ません。
近い将来、AIの活用が医療分野でもっと進んだ場合でも、医師が主体的に患者と関わり、その補助をAIが担うという構図は変わらないでしょう。
AIが得意とする分野はAIにある程度任せ、医師は「医師でしかできないこと」を担うというすみ分けが大切だという前提で論じていくことが大切です。
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まとめ
医療分野へのAI導入のメリット・デメリットについて、よく理解しよう。
医師として、AIをどのように活用するか、AIとどのように協働するか、自分なりの考えを持とう。
医療現場において主導する立場なのは、AIではなく、あくまでも医師であるということを明確にして論じよう。
参考リンク
【2020年】医学部Webオープンキャンパス|リンク集