2021年度入試で「主体性評価」が必要な大学
*2020年7月22日、主体性評価に関しては萩生田文部科学大臣より「主体性評価」をのシステムを運営している教育情報管理機構の運営許可を取り消す方針を固めたとの発表がありました。
これによって「主体性評価」は大きく後退することになります。
詳しくは下の記事を参照してください。
(7月23日追記)
大学入試に「主体性評価」と呼ばれる評価基準を導入する大学が多くなりました。医学部医学科でも同様の動きがあります。2021年度(令和3年度)新たに主体性評価にかかわる提出が必要になった大学とその内容は以下の通りです。
(2020年6月4日時点)
慶應大学医学部医学科
・学部一般入学試験のインターネットによる出願の際に、「主体性」「多様性」「協働性」に関する経験について、入力を求めます。
・入力は受験生本人が行うものとし、出願の要件とします。
・入力した内容は合否判定に用いることはせず、入学後の学習指導上の参考資料としてのみ活用します。
・併願する学部が複数ある場合でも、1回の入力ですべての学部に適用されます。
https://www.keio.ac.jp/ja/pressreleases/2018/11/19/28-50843/
獨協医科大学医学部
「主体性を持って多様な人々と共同して学ぶ態度」を持って取り組んだ活動の成果や、留学・海外経験、取得した資格・検定などについて提出。得点化はしない。
https://www.dokkyo.ac.jp/of/PDF/179664933e62d7a183916ae00044e0f4.pdf
東海大学医学部医学科
「主体性を持って多様な人々と共同して学ぶ態度」の経験について提出(300~500字程度)。
点数化しない。
https://www.u-tokai.ac.jp/prospective_students/yokoku/
日本大学医学部医学科
「主体性」「多様な人々との協働性」についての経験を入力。選抜の際に評価しない。
http://www.nihon-u.ac.jp/admission_info/application/general_information/general/
(2020年5月28日更新)
主体性評価とは?
近年の急速な国際化、情報化の進展で、従来の社会構造も大きく変化しました。今後はこれまでのように与えられた知識・技能だけではなく、「新たな価値を自ら創造していく力」を教育の中で育てていくことが社会において求められています。
またバブル崩壊以降「失われた30年」といわれる間に日本の国際競争力は低下したことから、大学入試での1点刻みの合否判定で合格した学生と社会で求められている人材とのミスマッチが問題視されるようになりました。いわゆる「大社接続」問題が、小学校から大学入試、大学教育までを「串刺し」的に改革する原動力となっています。
学力の3要素が入試改革につながることに
こうした社会情勢の中、「新しい学力観」が文部科学省から示されました。文部科学省は社会で自律的に活動していくために必要な「学力の3要素」をバランスよく育むことが必要とし、高等学校教育と大学教育および大学入試を一体的に改革することを目指しました(高大接続改革)。
学力の3要素とは
①知識・技能の確実な習得
②(①を基にした)思考力、判断力、表現力
③主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度
であるとされています。
一般的に③にあたるのが「主体性評価」とされています。今後「高大接続」を実現するために、この主体性評価を推薦入試だけではなく一般入試でも合否の判定に加えることが改革の一つとして考えられています。
医学部医学科でも主体性評価は必要になる?
しかしながら
・「主体性」を評価すること自体に対する意見(そんなことができるの?)
・その評価の平等性の担保(親世代の経済格差が反映してしまわないか?)
・大学に提出するe-Portfolioと呼ばれるシステムに関する忌避感(特定の民間企業の利益になるのでは?)
などが相まって「主体性評価」に関する改革は、スムーズに進展しているとはいいがたい状況にあります。
しかしながら今回の慶應義塾大学、獨協医科大学、東海大学、日本大学の変更は、今後実現するかもしれない高大接続改革の流れを先取りした動きと言えます。
主体性評価の今後
今年はどの医学部も主体性評価を点数化しないことにはなっていますが、来年度以降はさらに多くの大学が入試に取り入れることが予想されます。特に現在の中学3年生が受験を迎える2024年度入試改革の際には主体性評価が必須になる可能性があります。
来年度以降に入試を控える医学部を志望する現役生は、自分の行きたい大学が主体性評価を必要としているかどうか、今後もチェックして下さい。
2021年度医学部各大学毎の受験情報、入試要項等のページはこちらになります。
共通テストについてさらに知りたい方は、高大接続改革および2021年度から始まる共通テストの理論的バックボーンとなっているブルーノのタキソノミーについてもチェックして下さい。
2021年度から始まる共通テストの理論的バックボーン「ブルーノのタキソノミー」
参考リンク
【2020年】医学部Webオープンキャンパス|リンク集