医学部へのアプローチとして、もっとも一般的な手段は、もちろん高校生、または浪人生から入学を目指す一般入試。また、第二に、いったん他の大学に入った後、退学するか、もしくは卒業してから医学部を再受験するという手段が良く知られていました。
しかし、2000年以降、医学部において、編入試験を実施する大学が増えたことで、医学部の2年次、または3年次に編入するという手段もまた、選択肢の一つとして注目されてきています。
もちろん定員数は少なく、倍率も非常に高いので、受験生にとって狭き門であることに変わりありませんが、医学部入学へのアプローチとして、編入という手段があることを知っておくことは、とても大切です。
国公立、私立の編入可能な大学一覧
まずは、2020年時点で2021年度に編入可能な大学を確認しておきましょう。
現状では、編入試験を実施しているのは、私立大学では数えるほどしかありません。
2000年に、文部科学省から「良医養成のために社会人経験を積んだ人材を編入させる」という通達があり、国立大学では、多くの大学で医学部編入試験を取り入れることになりました。このことが、受験生にとっても選択肢の幅を広げる大きなきっかけとなっています。
それでは、具体的にどの大学が編入試験を実施しているのかを確認しておきましょう。
なお、こちらで紹介している情報においては、変更が生じる場合もありますので、実際に編入試験をお考えの方は、必ずご自身で志望される大学の募集要項をご確認ください。
国公立大学
北海道・東北地区
関東地区
中部地区
・金沢大学
・富山大学
・名古屋大学
・新潟大学
・浜松医科大学
・福井大学
近畿地区
*2021年度(令和3年度)奈良県立医科大学の2年時編入試験は実施されませんでした。
中国・四国地区
・愛媛大学
・岡山大学
・香川大学
・高知大学
・島根大学
・鳥取大学
・山口大学
九州・沖縄地区
私立大学
編入試験のメリットについて
編入試験において、大学側のメリットとしては、社会人経験を積んだ多様な人材を入学させることができるというところにあります。では、受験する側のメリットはどのようなものでしょうか。
年齢制限がなく、社会人への門戸が広い
医学部編入試験の第一のメリットとして、年齢制限がないことが挙げられます。
学士号を持っているという条件さえクリアできれば(一部の大学では、大学既定の単位を取得していれば受験可能です)、誰でも受験することができるということが受験生にとって大きなメリットでしょう。
社会経験を積んでから、やはり医学の道を志したいと思った、という受験生に大きく門戸を開いているのが、この編入試験制度です。
試験日程が重ならないので、複数の大学を受験しやすい
もう一つのメリットとしては、大学によって試験の時期が異なるため、国公立大学でも複数校の受験が可能だということです。
通常、一般入試では、試験の時期が重なるため、受験生は、受験する大学を絞らなくてはなりません。編入試験を受験する場合、一年を通じて多くの大学を受験することができるので、受験生にとってはチャンスが大きく広がるでしょう。
また、試験内容が大きくちがうため、実際には難しいのですが、理論的に言えば、編入試験と医学部再受験の併願も可能。これも、受験生にはメリットといえます。
一般入試と比較すると、試験科目が少ない
受験生にとっては、これが最大のメリットかもしれません。
編入試験では、一般入試と比べて学科試験の科目が少なく、受験勉強の負担が軽くなります。社会人として、働きながら編入試験を目指す人も、試験科目が少なければ、チャレンジしやすい状況になりますね。
また、文系の学生でも受験しやすい科目構成になっている大学もあるので、より多くの受験生にチャンスが与えられているといってよいでしょう。
主な科目とその対策について
では、具体的に、医学部の編入試験ではどのような試験が行われているのでしょうか。
まずは、選抜方法。
多くの大学は
学科試験+面接
という形をとっていますが、一部
書類審査+学科試験+面接
という三段階の形をとっているところもあります。
学科試験では、
英語と生命科学
を中心に
物理と化学の2教科
もしくは
物理・化学・数学の3教科
が足されるというパターンが多いです。
いずれにせよ、英語と生命科学が重要科目として課されるので、しっかりと対策を講じましょう。
英語は長文読解が基本パターンで、医学英語が出題されるので、理解を深めておくことが必要です。また、問題量も非常に多いため、読解のスピードも上げておく必要があるでしょう。
生命科学は高校の生物をベースに、人体に関連する分野を発展させた科目。
大学の専門課程で学ぶレベルの
- 分子細胞生物学
- 生化学
- 生理学
- 神経科学
- 免疫学
- 組織学
で構成されています。
英語と生命科学、この2科目を徹底的に勉強しておきましょう。
また、編入試験においては、一般試験ではそれほどウェイトが高くない面接も重視される傾向にあります。
「医師になりたい」
という明確な意志をきちんと伝えられるよう、しっかりと準備しておくことが大切です。
面接だけでなく
- 集団面接
- 集団討論
が行われる大学もありますので、志望校の傾向をしっかりとつかんでおいてください。
【医学部受験チャンネル:医学部編入試験をPMDプロ講師の阿久澤先生が詳しく解説。】
まとめ
・編入可能な大学、受験日程を確認し、複数校にチャレンジできるように計画を立てよう
・編入試験のメリットを理解し、そのメリットをしっかり利用しよう
・英語と生命科学が重点科目! そして面接もウェイトが高い! 効率の良い試験対策を講じよう