医学部医学科を受験するにあたって、理解を深めておかなければならないキーワードはたくさんあります。
その中でも今回は、小論文課題に出題されやすいキーワードである「医師不足」について、どのように論じれば良いのかを具体的に考えてみましょう。
出題意図を理解し、どのように論じればいいかを考える
まずは、「医師不足」というキーワードについて基本的な事柄を理解しておくことが大切です。
日本は、先進国の中でも人口1000人当たりの医師人数が少ないことが問題視されています(具体的な数値については、最新データを確認しておきましょう)。
医師不足によって起こり得る問題としては、医師の過重労働、救急患者のたらい回し、医療の地域格差、特定の診療科に対する医師数の不均衡などが考えられます。
その現状を理解した上で、受験生自身が、「医師不足」という問題に対して、どのような考え方を持っているかについて問われていると考え、論じ方を考えましょう。
論旨の進め方
ここでは、800字、四段落展開で書くように考えていきます。
小論文の課題では、600字~800字の字数で書くことを求められることが多いので、800字でまとめられるように考えておきます。
もしも600字だった場合には、三段落部分をカットし、800字よりも多かった場合には、求められた字数分を4で割って、それぞれの段落を少しずつ膨らませて書くようにしましょう。
小論文の基本で考えると
序論
本論
結論
という流れで考えていきますが
四段落で構成する場合には本論の部分を二つに分け
序論
本論1
本論2
結論
と書いていきます。
まず序論では「医師不足」の現状を分析し、課題を抽出します。医師不足の原因と課題について簡単に述べた上で、医師不足を解消していくために対策を考えるべきだという姿勢を打ち出します。
本論では具体的に、医師不足解消のためにはどのような対策をするとよいかを具体的に述べていきましょう。
本論を二つに分ける場合には、各段落の冒頭に
「第一の対策として~」
「そして第二の対策として~」
というように読み手にわかりやすいように書くことがコツです。
第一の対策には
第二の対策には
環境の整備について、たとえば「女性医師の労働環境の整備」などを論じていくことがポイントです。
それぞれの対策に、具体性を持たせ、その対策が実現した場合には、どのような効果が得られるかについても述べていくとよいでしょう。
たとえば、第一の対策として例に挙げた「オンライン診療の導入」については、地域によっての医療格差を是正すると同時に、患者にとってもライフスタイルに合わせて診療を受けられるというメリットがあります。
第二の対策として例に挙げた「女性医師の労働環境の整備」については、結婚や出産にともなって、キャリアの中断を余儀なくされる女性医師を活用することによってもたらされるメリットを具体的に考え、述べていくとよいでしょう。
結論では、序論、本論で述べてきた自分の主張をもとに、医師不足解消のために必要だと思われることを再度端的に述べ、結びとします。
書く際に留意すること
「医師不足」というテーマについては、受験生一個人が解決策を考えるには、あまりに大きなテーマですので、目新しい解決策を提示する必要はありませんし、採点する側もそこを重視してはいません。
「医師不足」という現状を正しく理解しているか、そして、そこから起こり得る課題とは何かを理解しているかどうかが大切です。
対策については、一般常識の範囲で、だれでもが思いつくような対策で構わないので、自分が設定した対策について、具体性をもって論じられるとよいでしょう。
まとめ
「医師不足」について、現状と課題をしっかりと理解しよう
「医師不足」をどのように解決するか、自分なりの対策を考え、論じよう
目新しさではなく、具体性を大事にし、説得力を持たせよう
参考リンク
【2020年】医学部Webオープンキャンパス|リンク集